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  3. 遺言書や財産目録に記載すべき相続財産は?

遺言の対象になる財産をリストアップする

相続が開始すると、被相続人の「財産」はもちろん、「法律上の地位」も相続人に引き継がれます。

財産には、土地や建物、預貯金や株式、国債などプラスの財産、そして借金などのマイナスの財産もあります。

また、法律上の地位は、建物の賃借人や、その賃借人の保証人といったものがあります。

ただ、被相続人だけに帰属して、相続人に帰属することのできない性質をもった「一身専属権」と呼ばれるものについては、相続の対象外となります。

例えば、父が医者だったので、相続開始後は「その息子も医者になる」といったことはありません。

遺言書を作成する前に、相続の対象となる財産(以降、法律上の地位も含む)をリストアップし、財産の見落としをしないようにしましょう。

財産リスト

また、遺言書や財産目録には、相続の対象になる財産だけを記載しないといけない、といった決まりはありません。

形見や祭祀財産など、後に相続人間で揉める原因になりそうなものも、遺言の対象財産に含めましょう。

相続の対象となる財産

不動産

不動産はもちろん、相続の対象で、未登記でも同じです。

未登記の建物などがある場合には、遺言書の作成を一つの機会として、登記を検討してみてはいかがでしょうか。

そして、空き家で負動産になっていても、相続の対象となります。

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不動産賃借権

不動産の借地権や借家権も、相続の対象となります。

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預貯金

預貯金も相続の対象となります。

そして、見落としがちなのがネット銀行や外貨預金です。

また、名義預金も相続の対象となります。

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株式

上場株式はもちろん、中小企業で上場していない株式も相続の対象となります。

また、単元未満株も相続の対象となります。

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国債

利付国債、割引国債、個人向け国債も相続の対象となります。

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その他

上記以外に、以下のようなものも相続の対象となります。

  • 私道
  • 自動車
  • 美術品や骨董品
  • 金地金(きんじがね)
  • 被相続人が所在不明株主に該当する株式

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相続の対象になる可能性のある財産

死亡退職金

会社などの死亡退職金の支払規定がある場合には、その規定の内容で相続財産なのか、それとも受給権者の固有財産なのかを判断します。

具体的には、支払規定などで、死亡退職金の受け取り人が定められている場合には、相続の対象ではなく、その受給権者の固有財産となります。

ただ、ややこしいのですが、相続の対象ではなくても、みなし相続財産として「相続の対象」にはなります。

支給規定がない場合は、支給慣行や支給の経緯などを鑑みて、相続財産となるか否かを判断します。

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保証債務

保証債務は、内容によって相続の対象となる・ならないと分かれます。

ちなみに、保証債務が相続の対象となる場合は、その分、債務控除が出来るということを意味します。(保証債務はマイナスの財産)

身元保証や継続的な取引から生じるような「信用保証」は相続の対象となりません。

相続の対象となるのは、主たる債務者が弁済不能の状態で、保証債務者がその債務を履行しなければならなく、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合等となります

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ゴルフ会員権

ゴルフ会員権の契約内容や規定を個別に見て、相続税の対象になるのかを判断します。

また、ゴルフ会員権が相続財産にならない場合でも、預託金があれば預託金返還請求権、年会費を滞納している場合のその支払い義務などは、それぞれ相続の対象となります。

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損害賠償請求権

損害賠償の内容が、慰謝料などであれば一般的には相続の対象となり、被相続人の車の修理代などの場合には、相続の対象にはなりません。

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未収家賃

未収家賃が相続の対象になるかどうかは、相続開始日の収受権の帰属と支払日で判断します。

未収家賃の収受権の帰属が、被相続人ではなく第三者であれば、相続の対象にはなりません。

また、相続開始時点において、その支払日が到来していないものも、相続の対象にはなりません。

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生命保険金

生命保険金は、基本的には相続の対象にはなりません。

ただし、被保険者が相続人で保険料の支払いが被相続人(故人)である場合には、相続の対象になってきます。

また、相続の対象にはならなくても、契約内容しだいで、みなし相続財産として相続の対象になったり、贈与税や所得税(一時所得)の対象になったりします。

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へそくり

へそくりは相続財産になる確率が高いです。

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相続の対象にならない財産

国家公務員・地方公務員・私立学校法人の職員の死亡退職手当

いずれも受給権者の固有の権利となり、相続財産にはなりません。

これらは相続人の範囲と順位に関係なく、死亡した職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的として、受給権者が定められる等しているためです。

公営住宅の借家権

公営住宅の借家権は、通常の借家権と異なり、相続の対象にはなりません。

公営住宅は、入居資格がなければ入居できません。

よって、相続に関係なく、相続人が入居資格を備えていない場合には、いくら一緒に住んでいたとしても、賃借することは出来ません。

祭祀財産

系譜(系図)や祭具(位牌・仏壇など)、お墓などの祭祀財産は相続財産ではありません。

ただ、祭祀の主宰者を誰にするかは、指定しておいた方がいいです。

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財産目録は自筆でなくてもよい

平成30年の民法改正により、自筆証書遺言で財産目録を別紙にして添付する場合、財産目録が自筆である必要がなくなりました。

また、パソコンでの作成や、遺言者本人以外の作成、不動産登記事項証明書や預金通帳のコピー(各頁に署名と押印が必要)を財産目録とすることも可能になりました。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。