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  3. 一通の遺言に複数人が遺言をする共同遺言は禁止されている

夫婦相互遺言でも遺言書は別々に作成する

仲のいい夫婦
質問

夫婦で、相互に遺産を相続させるという遺言を、一通の遺言書で作成することは可能ですか?

解答

一通の遺言に、複数人が遺言をすることは出来ません。

夫婦がお互いに、自分が死亡したら「全財産を配偶者に相続させる」という内容の遺言を「夫婦相互遺言」と言ったりします。

ただし、「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」という民法の規定があります。

よって、夫婦相互遺言などのように、内容がまったく同じである遺言だとしても、一通の遺言書で作成することは出来ません。

夫婦が別々に、遺言書を作成する必要があります。

仮に、一通の遺言書でまとめて作成したとしても、その遺言書は無効となります。

共同遺言が禁止されている理由

共同遺言を認めると、遺言者が相互に遠慮してしまい、遺言内容の自由が保障されない、と考えられています。

たとえば、夫は「全ての財産を妻に相続させる」と考えているのに、妻は「夫に財産を1円たりとも相続させたくない」と考えている場合、共同遺言の作成の際に、妻は自分の意志を貫き通せるでしょうか?

また、夫婦のどちらか一方が遺言を撤回したくなったとしても、共同遺言なので、撤回も共同で行わなければならなくなり、各遺言者が自由に撤回することが出来ません。

さらには、夫婦のどちらかが先に亡くなった場合に、残された遺言者が「その遺言を撤回できるのか?」といった問題もあります。

これらの理由により、共同遺言は禁止されています。

ただし、各遺言者の遺言部分が容易に切り離せる場合には、共同遺言に該当しない、とした判例もあります。

しかし、いくら仲のいい夫婦でも、遺言書は夫婦別々に作成しましょう。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。