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  3. 未登記の建物を遺産相続させる遺言書の文例と注意点

未登記の建物は遺言書に記載しないと遺産分割の対象

未登記の建物がある場合には、注意が必要です。

例えば、本来は長男 太郎に、未登記の建物も含めた全ての不動産を遺産相続させたい、と考えているとします。

この時に、登記済みの不動産だけ遺言書に記載し「その他のすべての財産は、長女 花子に遺産相続させる」と記載した場合、その未登記の建物は、長女 花子が遺産相続することになります。

あるいは、単純に未登記の建物を遺言書に記載し忘れた場合、その建物は遺産分割協議の対象となります。

未登記の建物でも、しっかりと遺言書に記載しましょう。

特に、増築部分が未登記のまま、というケースは少なくありません。

この未登記である増築部分も、遺言書に記載し忘れないように注意しましょう。

遺言書に未登記部分の記載がないデメリット

質問

あれ?
確か不動産の所有者は、その不動産に付属している物の所有権を取得できる、みたいな条文がありませんでしったけ?
昔、ちょっと法律の勉強をしておりまして・・

解答

確かに、そのような条文はあります。

ここから引用

不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

ここまで引用

引用元
民法物権 第242条【不動産の付合】

質問

だったら、増築部分の未登記については、遺言書に記載しなくても大丈夫ではないですか?

解答

いや、やはり記載したほうがいいと言えます。

確かに、上記の条文によれば、遺言で本体部分の建物を相続し、かつ登記すれば、その未登記の増築部分も、その相続人の所有となります。

ただ、この建物を売却しようとすると、未登記の部分を登記しないと売却できない場合があります。

そして、いざ売却するために登記をしようとしても、遺言書に未登記の部分が記載されていないため、登記するために「相続人全員の合意が必要」となってきます。

このようなデメリットもあるため、遺言書には「未登記の部分も記載した方がいい」と言えます。

未登記の建物や増築部分の遺言書への書き方

質問

たしか、建物や付属設備って、登記事項証明書の記載に従い、遺言書へ記載するんではないでしたっけ?
そうなると、未登記だと正確に記載できないのではありませんか?

解答

そうですね。
なので、固定資産課税台帳や名寄帳の記載事項などを参考にして、判明している部分を記載するような形になります。

不動産の登記済・未登記に関係なく、固定資産税はかかります。

よって、登記はされていないものの、固定資産税が発生している場合には、名寄帳などで確認できます。

ただ、未登記で名寄帳にも記載されていない場合もあります。

そのため、特定して記載できない未登記の建物や増築部分については、「未登記である増築部分を含む」等と記載し、対処するような形となります。

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未登記の建物や増築部分が「特定できる場合」の遺言の文例

第〇条 遺言者〇〇は、遺言者の有する下記不動産を、長男 正雄(昭和〇〇年〇月〇日生)に相続させる。


    所在:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇〇

    家屋番号:未登記

    種類:居宅

    構造:木造スレート葺 1階建

    床面積:80.00平方メートル

    未登記建物:名寄帳などから記載

未登記の建物や増築部分が「特定できない場合」の遺言の文例

第〇条 遺言者〇〇は、遺言者の有する下記不動産(未登記である増築部分を含む)を、長女 雅代(昭和〇〇年〇月〇日生)に相続させる。


    所在:〇〇都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇〇

    家屋番号:1番3

    種類:居宅

    構造:木造スレート葺 2階建

    床面積1階:50.00平方メートル

    床面積2階:50.00平方メートル

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