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自筆証書遺言が無効になる主な原因

失敗

自筆証書遺言は、用紙・筆記用具・印鑑があれば、いつでもどこでも手軽に作成できます。

これは自筆証書遺言のメリットでもあります。

ただし、その反面、「遺言書として無効になりやすい」というデメリットもあります。

そして、自筆証書遺言が無効になる原因としては、以下の4つが挙げられます。

  • 自筆証書遺言の要式を満たしていない
  • 文字が判読できない
  • 脅迫や詐欺により作成された
  • 遺言能力がない者が作成した

自筆証書遺言の要式を満たしていない

ルール違反

自筆証書遺言は、遺言者がその全文を自筆し(財産目録は除く)、日付および氏名を自書し、押印する必要があります。

遺言書が自筆でない・日付が記載されてない・署名や押印がない等の不備が一つでもあれば、他にいくら問題がなかったとしても、その自筆証書遺言は無効となります。

文字が判読できない

読めない

遺言書の破損や摩耗が激しく、文字が読めない。

あるいは、そもそも字が汚く判読できない。

このような文字が読めなかったり、判読できないような遺言書は、その読めない箇所や判読できない部分については無効となります。

注意点としては、1箇所でも読めなかったり、判読できない箇所があるからといって、その遺言書全てが無効になるわけではありません。

また、判読できない箇所があったとしても、作成時の状況や遺言者の気持ちを鑑み、相続人間で協議の上、その判読できない箇所の結論を出す、という方法もあります。

あるいは、筆跡鑑定などを用いて、なんとか判読を試みる、といった方法もあります。

脅迫や詐欺により作成された

脅迫

民法において「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」と規定されています。

よって、詐欺や強迫により作成した遺言書がある場合、その遺言書を取り消す意思表示をすれば、その遺言書は無効になります。

取り消すという意思表示には、何か決まった方式などはありません。

よって、意思表示を明確にするには、新たな遺言書を作成するのがベストと言えます。

質問

遺言書なのですが、兄に脅されて作成した痕跡がうかがえます。
ただ、父(遺言者)はもう亡くなってしまいました。
この遺言書を無効にすることは不可能ですか?

解答

不可能とも言い切れません。

遺言者が死亡した後に、遺言の撤回や新たな遺言の作成は、もちろん出来ません。

ただ、遺言者が有していた「詐欺や強迫による遺言の取消権」は相続人に承継されます。

よって、残された相続人が「この遺言書は脅迫されて作成されたものだ」として、遺言書を無効にすることは可能です。

ただし、相続人間で遺言書が有効なのか無効なのかモメている場合には、家庭裁判所での調停や、裁判所に訴訟を提起して解決する、といった形となります。

ちなみに、詐欺や強迫によって、遺言者に遺言を作成させた者は、相続人または受遺者となることはできません。

よって、一円たりとも遺産相続することは出来ません。

遺言能力がない者が作成した

ボケている

15歳に達した者は、遺言をすることができます。

ただし、遺言者には、意思能力(遺言能力)が必要です。

認知症や精神障害があり、意思能力がない場合には、たとえ遺言書を作成したとしても、その遺言書は無効とされます。

ただし、遺言作成時に意思能力があったのか・なかったのか?を証明するのは困難です。

たとえ亡くなった時には認知症だったとしても、遺言作成時には認知症でなかったことも考えられます。

このため、「遺言者には遺言能力があった・なかった」と相続人間でトラブルになるケースもあります。

よって、遺言能力が疑われると想定される場合には、遺言時に医師の立会いをしてもらい、遺言能力があることを診断してもらいましょう。

また、その診断書は残しておきましょう。

あるいは、遺言を作成している姿を録画するのも一つの手です。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。