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遺言が無効になると「相続時に遡って遺産は未分割状態」になる

無効になった
質問

遺言無効確認訴訟の結果、遺言が無効になってしまいました。
遺言書の内容通りに遺産分割したものとして、相続税の申告をしています。
どうすればいいのでしょうか?

解答

それは大変ですね。
まず前提として、遺言が無効になると、相続開始時に遡って、遺産は未分割の状態となります。

遺言が無効になった場合にやるべきこと

やるべきこと

遺言が無効なった場合にやるべことは、主に以下の2つです。

  1. 遺産分割協議
  2. 相続税の更正の請求・修正申告

1は、遺言が無効になってしまったので、誰がどの財産を相続するのかが白紙となります。

そのため、遺産分割協議をして「遺産の配分を決める」必要があります。

決定する

2は、遺言が有効か無効か揉めているけれども、とりあえず一旦は、遺言書通りに遺産分割したとして、相続税の申告をしている場合に、必要な措置となります。

例えば、遺言書によって、Aさんは1億円の遺産を相続したとして、相続税を申告し、かつ相続税も支払っていた。

ただ、その後の遺産分割でAさんは5千万円の遺産相続となった。

この場合、Aさんは多くの相続税を支払っていたことになります。

よって、Aさんは「更正の請求」をして、相続税の還付を受ける必要があります。

逆に、Bさんは遺言書によって、5千万円の遺産を相続したとして、相続税を申告し、かつ相続税を支払っていた。

けれども、遺産分割の結果、1億円を相続することになった。

この場合、Bさんは相続税の支払いが不足していますので、「修正申告」をして、不足分の相続税を支払う必要があります。

ただ、この「更正の請求」や「修正申告」は、絶対にしなくてはならないのか?というと、そういうわけでもありません。

「更正の請求」や「修正申告」の目的は、簡単に言えば「相続税の精算」です。

精算する

よって、当事者間で相続税の精算をして終わり、ということも出来ます。

上記の例で言えば、BさんがAさんに「Aさんが還付してもらえる相続税の金額」を支払う、といった形となります。

ちなみに、相続税の申告をしていなければ、相続税の期限後申告(申告期限を過ぎてから申告書を提出すること)をすることになります。

遺言が無効になった場合の「更正の請求期間」には注意

更正の請求

遺言無効確認訴訟の結果、遺言が無効になった場合は、更正の請求ができる期間は、その訴訟の結果が確定した日の翌日から2カ月以内となります。

これは「国税通則法 第23条2の1」で、以下のように更正の請求ができる旨を定めているからです。

ここから引用

その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。その確定した日の翌日から起算して2月以内

ここまで引用

引用元
国税通則法 第23条2の1

ただ、2カ月以内に遺産分割協議を終えるのが、困難な場合もあります。

その場合には、いったん未分割(法定相続分で相続したものとする)という形で、更正の請求をします。

そして、実際に遺産分割協議が成立した後に、その協議結果に基づいて相続税を再計算し、更正の請求または修正申告をします。

この場合の更正の請求ができる期間は、その「遺産分割協議の成立を知った日」の翌日から4カ月以内となります。

このように、更正の請求期間を段階的に伸ばす、ということが可能です。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。