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公正証書遺言を作成するまでの一連の流れ

公正証書遺言

公正証書遺言を作成するまでの一連の流れは、以下のようになります。

  1. 税理士などの専門家に相談や依頼するかどうかを決める
  2. 遺言書の原案を作成する
  3. 公証役場を決める
  4. 証人2名を決める
  5. 必要書類を準備する
  6. 公証役場にて、証人2名立ち合いの下、遺言の内容を口述する

不明点が多ければ、税理士などの専門家に相談や依頼をする

相談

公正証書遺言は、遺言者が公証人に依頼して、公証人が作成する公文書です。

よって、公正証書遺言を作成するのに、税理士や行政書士、弁護士などへの相談や依頼は、必ずしも必要ではありません。

直接、遺言者が公証役場に赴き、公証人とやりとりをして、公正証書遺言を作成することが出来ます。

ただ、公証人は「法的に問題のない遺言書」の作成はしますが、遺言の内容については言及しません。

たとえば、「息子さんが自宅を相続すると大幅な節税効果がありますよ」といったようなアドバイスはしません。

よって、遺言の内容をどうすればいいのか分からない。

あるいは、公正証書遺言について、自分で調べてみたがよく分からない。

もしくは、公正証書遺言の作成に必要な書類を、自分で用意できそうにない。

このような不安や不明点のある方は、はじめから税理士などの専門家に相談しましょう。

ちなみに専門家に依頼すれば、遺言者が公証役場に行くのは、通常、実際に公正証書遺言を作成する日の一日だけで済みます。

遺言書の原案を作成する

公正証書遺言は、公証役場にいきなり行き、その日に作成ができる、といったものではありません。
(ただし、遺言の内容が単純であり、かつ全ての関係書類が整っており、また、証人2名も手配済みであれば、当日に相談し、その日に作成することも不可能ではありません。)

通常は、公証役場に相談予約をし、遺言者または遺言者から依頼を受けた者が公証役場へ行き、遺言書の原案を提出します。

もしくは、遺言書の原案を口頭でお伝えします。

よって、公正証書遺言は公証役場に赴き作成するものですが、その日に遺言の内容を決める、といったものではありませんので注意しましょう。

また、遺言書を作成する際には、遺言執行者の指定も忘れずに行いましょう。

そして、遺留分にも注意しましょう。

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遺言の執行当サイト:遺言ベスト (リンク先に遷移します)遺留分を知らずに遺言書を作成してはいけない当サイト:遺言ベスト (リンク先に遷移します)

公証役場や証人を決める

公証役場
質問

どこの公証役場に行けばいいのでしょうか?
住んでいる市区町村の公証役場となりますでしょうか?

解答

決まりはありません。
全国、どこの公証役場でも可能です。

質問

父(遺言者)は病気のため、公証役場に赴くことが出来ません。
どうすればいいのでしょうか?

解答

心配はいりません。
遺言者のいる自宅や病院等に公証人に来てもらい、公正証書遺言の作成手続を行うことも出来ます。

どこの公証役場でも問題はありませんが、公証人に来てもらう場合には注意が必要です。

それは、公証人は所属する都道府県以外に出張することができません。

よって、東京にいる遺言者のもとに、埼玉県に所属する公証人は赴くことが出来ません。

なので、公証人に来てもらう場合には、来てもらう都道府県に属する公証役場(公証人)に依頼しましょう。

証人2名を決める

公正証書遺言の作成には、証人2名の立ち合いが必要となります。

この2名に公証人は含まれません。

また、以下の者は証人となることが出来ません。

  • 未成年者
  • 推定相続人及び受遺者並びに、これらの配偶者及び直系血族
  • 公証人の「配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人」
質問

子供が推定相続人となります。
ということは、父を証人にしてもいいということですよね?

解答

法律的に問題がないか?と言われれば問題はありません。
ただ、この場合、本当にお父さんを証人にしていいのかどうかは、検討したほうがいいと言えます。

親族の状況次第では、子供が先にお亡くなりになった場合、遺言者の父が推定相続人になることもあります。

また、証人は遺言の内容を知ることにもなります。

遺言の内容を知られるということは、財産状況を知られることも意味します。

親族や親戚関係の方に、財産状況やその財産の行き先を知られたくない場合は、赤の他人を証人にしましょう。

ちなみに、証人は遺言作成の依頼時には、立ち会う必要はありません。

遺言者が証人の氏名と住所を伝えるだけで大文夫です。

また、公証人の「配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人」が証人になれないのは、公証人の関係者なので、公正な立場で証言できないと考えられているからです。

質問

友人に遺言の中身や財産状況を知られるには抵抗があります。
かといって、その友人以外に証人を頼める方が思いつきません。
どうすればいいでしょうか?

解答

そのような場合は、公証役場に証人の手配を依頼することが出来ます。

証人を遺言者が用意できない場合、公証役場によく出入りしている税理士・行政書士・司法書士等が、公証役場からの依頼により証人となります。

また、そもそも専門家に公正証書遺言書の作成を依頼する場合は、その方などに証人を依頼しましょう。

必要書類の準備をする

住民票、戸籍、印鑑証明書の請求書

公正証書遺言書の作成に必要な書類は、以下のようになります。

  1. 遺言者の印鑑登録証明書および実印
  2. 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
  3. 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
  4. 証人の免許証の写しや住民票、ならびに認印
  5. 不動産が含まれる場合には、登記事項証明書および固定資産評価証明書
  6. その他財産がわかる資料の写しや明細一覧表等

1の遺言者本人の印鑑登録証明書は、発行が3カ月以内のものが必要です。

また、「印鑑登録証明書と実印」ではなく、「運転免許証やパスポート等と認印」でも可能です。

2の戸籍謄本ですが、子供が結婚などをして除籍になっていると、遺言者とその配偶者の記載しかない場合があります。

そうなると、親子関係を証明することが出来ません。

よって、そのような場合には、親子関係がすべて記載されている改製原戸籍などを取得する必要があります。

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戸籍の取得方法姉妹サイト:相続税対策本部 (別ページが開きます)

3の住民票は、遺贈する者を特定するために必要となります。

4は、遺言者が証人を用意した場合に必要となります。

証人の身分証明書になるものと、印鑑が必要となります。

5の登記事項証明書は法務局で入手できます。

また、手数料を算定するために、最新の固定資産評価証明書(もしくは、不動産の評価額が記載されている最新の納税通知書)も必要です。

固定資産評価証明書は市町村役場にて入手できます。

6のその他財産がわかる資料の写しや明細一覧表等というのは、不動産以外の預貯金の残高や、株券などの財産の金額を記載したものとなります。

メモ書きなどでも可能ですが、手数料を算出するため、総合計がいくらかを記載する必要があります。

なお、上記に記載したもの以外にも、必要書類として求められる場合がありますので、事前に公証人や専門家に確認しておきましょう。

また、これらの必要書類は、公正証書遺言の作成日当日ではなく、事前に公証役場に持っていくのが通常の流れとなります。

作成日当日の流れ

公正証書遺言の作成日の当日の流れは、以下のようになります。

  1. 証人2名立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述
  2. 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる
  3. 遺言者および証人が、筆記の正確なことを承認し、署名・押印する
  4. 公証人が、その証書が1から3の方式に従って作成したものである旨を付記して、これに署名・押印する

2ですが、口述するのは遺言の趣旨だけで大丈夫です。

一語一句、全てを正確に口述する必要はありませんし、文章になるように口述する必要もありません。

また、遺言者に言語機能の障害がある場合は、通訳または筆談によって公証人に伝えます。

3ですが、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。

作成日当日に必要なもの

作成日当日には、以下のものが必要です。

  1. 手数料
  2. 遺言者の実印
  3. 証人2名の認印

2の遺言者の実印ですが、「印鑑登録証明書と実印」ではなく、「運転免許証やパスポート等と認印」で遺言者の本人確認をした場合は、認印でも可能です。

ちなみに、必要書類を公証人に事前に渡していない場合は、それらも当日持参する必要があります。

公正証書遺言の受取と保管

作成日の当日に、公正証書遺言の正本と謄本が、遺言者本人に渡されます。

そして、公正証書遺言の原本は、公証役場にて保管されます。

ちなみに、公正証書遺言の正本は原本と同じ効力を持ちますが、謄本には原本と同じ効力はありません。

よって、金融機関や法務局で相続手続をする際には、正本を使用します。(謄本では、そのような手続きをすることが出来ません。)

謄本は、遺言書の存在や内容を、相続人や第3者に知らせるためなどに使います。

公証役場での原本の保管期間は通常20年ですが、厳密には公証役場ごとに保管期間は異なります。

ただ実際には、ほとんどの公証役場で、遺言者が長生きすることや、公正証書遺言を作成した齢が高齢であった場合などを考慮して、遺言者が120歳程度の年齢に達するまで保管されます。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。