非嫡出子に遺産を相続させるには認知が必要
法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子を「嫡出子」といいます。
法律上の婚姻関係のない男女から生まれた子を「非嫡出子」といいます。
非嫡出子に遺産を相続させる場合、被相続人(亡くなった方)が父親である場合には、認知が必要です。
ちなみに、被相続人(亡くなった方)が母親である場合には、認知は必要ありません。母子の関係は、分娩の事実で認められるからです。
家庭崩壊を防ぐために認知はしたくないけれど、非嫡出子にも遺産は相続させたい、と思う方もいらっしゃいます。
この時に一つの方法として、遺言認知というものがあります。
妻に内緒で「隠し子に遺産を相続させる」ことは出来ない
実は、私には婚姻外の女性との間に生まれた子供がいます。
妻には内緒にしており、認知もしていません。
ただ、子供にだけは遺産を遺したいと思っています。
妻にバレずに、子供に遺産を相続させる方法はないでしょうか?
結論からいいますと、奥様に内緒で隠し子に遺産を相続させる、ということは出来ません。
ただし、遺言認知という方法で、あなたの生存中は奥様に隠し子がいることを秘密にしつつ、あなたの死亡後にその隠し子を認知して「遺産を相続させる」ということは出来ます。
しかし、あなたの死亡後に、奥様は隠し子の存在を知ることになります。
ちなみに、婚姻外の女性との間の胎児についても、その女性の承諾があれば認知することが出来ます。
また、婚姻外の女性との間の子供が死亡しているが、その子供の子供(いわゆる直系卑属)がいる場合、死亡した子供についても認知することが出来ます。
(直系卑属が成年者であるときは、その承諾が必要となります。)
遺言認知の文例
子の認知
遺言者は、次の者を遺言者と田中花代(平成〇年〇月〇日生)との間の子供として認知する。
氏名 田中花子
住所 東京都新宿区神楽坂〇丁目〇番〇号
本籍 東京都新宿区神楽坂〇丁目〇番地
生年月日 平成〇〇年〇〇月〇〇日生
戸籍筆頭者 田中花代
胎児の認知
遺言者は、神楽坂花代(本籍、東京都新宿区神楽坂〇丁目〇番地、平成〇〇年〇〇月〇〇日生)が懐胎している胎児を認知する。
死亡した子の認知
遺言者は、次の死亡者を遺言者と佐藤花代(平成〇年〇月〇日生)との間の子供として認知する。
氏名 佐藤花子
死亡時の住所 東京都新宿区神楽坂〇丁目〇番〇号
死亡時の本籍 東京都新宿区神楽坂〇丁目〇番地
生年月日 平成〇〇年〇〇月〇〇日生
死亡日 令和〇年〇月〇日