故人の筆跡でない遺言書は無効
遺言書があるのですが、どうも筆跡が父のではないような気がします。
それでも、この遺言書は有効なのでしょうか?
その遺言書を「故人以外の方」が書いていた場合は、無効になります。
ただ、本当に父が書いていないのかどうか、確証が持てません。
晩年は父もかなり衰弱していたので、昔のように字が書けなかっただけかもしれないですし・・
そうですね。
解決策としては、筆跡鑑定が必要になってきます。
「筆跡が違うのでは?」の一言で簡単に争続になる

遺言書を見た時に、相続人の誰かが「筆跡が違うのでは?」と言い出したら、ことは大変です。
それは、筆跡で揉めた場合、話し合いで解決できるものではなく、解決策として筆跡鑑定が必要になってきます。
そして、遺言者本人が自筆したものでも、病気のために手がうまく動かず、本来の筆跡とはかけ離れたものになり、「筆跡が違う」という鑑定結果が出る可能性もあります。
筆跡が違えば、その遺言は無効になります。
(たとえ、故人の意思通りの内容の遺言であっても、他人が代わりに書いた遺言は無効です。)
そして、「筆跡が違うのでは?」という疑問は、根拠が必要なく、ある意味その方の主観でいくらでも言えます。
遺言書の内容に納得できない。そうだ。「筆跡が違う」ということにして、なんとか無効にできないか・・。
こう考える相続人がいても、不思議ではありません。
そして、いざ「筆跡が違う」と発言したことにより、相続人間でトラブルになり、訴訟までいった場合、筆跡鑑定の上、最終的には裁判官の判断を要することになります。
判決まで概ね1年程度かかり、費用も数十万~数百万かかります。
こうなってくると、もはや争続です。
ある相続人の主観や意図的な意志で、「遺言書の筆跡が違う」という問題が発生したら、最悪裁判までいくことになります。
「遺言者本人の筆跡?」という問題を発生させない方法
筆跡鑑定では、遺言者本人が書いた日記や手紙などの文字と比べて鑑定されます。
晩年に病気になってから遺言書を書いた場合、元気な時とはまったく違う筆跡になることも考えられるので、遺言書は元気なうちに作成しましょう。また、
- 遺言書を書いたことを相続人に伝える
- 遺言書と同じ内容を口頭でも録音しておく
- 遺言書を書いている姿を動画で撮っておく
などしていれば、遺言者本人の筆跡?(他の人が書いたのではないか?)という疑問は生じにくくなるでしょう。
ただ、筆跡の問題を100%避けるためにも、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言の作成をお勧め致します。