負担付き遺言の効力を発揮させるためにも負担の付け方には注意
負担付きで相続や遺贈をすることが可能です。
例えば、○○の遺産を相続させる代わりに、妻の面倒を見ること、といったことが可能です。

「面倒を見る」というのが漠然としているので、遺言書で具体的な内容を記載する、ということも出来ます。
負担付相続や遺贈の記載例
妻の面倒を見てもらう
第〇条 遺言者 甲は、現預金1,000万円を長男 乙に相続させる。
ただし、長男 乙は、遺言者の妻 花代に対し、生活費の援助として、毎月末日までに、月2万円を妻 花代の住所に持参すること。
ペットの世話をしてもらう
第〇条 遺言者 太郎は、現預金500万円を〇〇花子に遺贈する。
ただし、〇〇花子は、遺言者の愛犬○○が亡くなるまで、介護・扶養し、死亡の場合は、相当な方法で埋葬・供養すること。
(ちなみに、ペットなのに介護・扶養って変だと思われるかもしれませんが、公正証書遺言で作成する際には、これらの表現を使います。)
負担の限度は相続または遺贈の額まで
遺言で不動産を相続できることになっているのですが、それに伴い、借金も負担すること、となっています。
不動産の価額より、明らかに借金の方が多いので、相続したくないのですが・・
相続放棄や限定承認などを検討しましょう。
いくら遺産相続させるからといって、それに見合わない負担をつけることは避けましょう。
例えば、遺産として1,000万円を遺産相続させる代わりに、借金3,000万円を負担すること、といった場合、相続したいと思う方は、ほぼいないでしょう。
負担の限度は「相続または遺贈の額まで」として、遺言書の作成をしましょう。
また、相続人や受遺者は「負担の内容が重い・そもそも負担付遺贈の目的となっている財産がほしくない」といった場合には、放棄することが出来ます。
もちろん、放棄しますので、その負担義務から免れられます。
また、そもそも民法1002条1項において「負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う」という規定があります。
よって、限定承認などをすることにより、遺贈の目的の価額を超えている負担分を減少させることが出来ます。
負担の義務を果たさない場合
負担付相続や遺贈の遺言であるにもかかわらず、遺言者の死亡後に相続または遺贈を受けた者が、その負担の義務を果たさない場合には、他の相続人や遺言執行者が負担を果たすように催告します。
催告しても負担をしない場合には、他の相続人や遺言執行者が、家庭裁判所に遺言の取り消しを申し立てることができます。
負担付きで遺産相続した場合の相続税の計算方法
負担がないものとして計算した当該財産の価額から、当該負担額を控除して課税価格を計算します。
ただし、控除が認められる負担額は、当該遺贈のあった時において、確実と認められる金額に限ります。
よって、その負担額が不明確である場合には、控除することは出来ません。