遺言で遺産分割を禁止するなら理由を付言事項に記載する
今、遺言書を書いているのですが、相続人が子供2人と孫1人で、孫はまだ16歳です。
ただ、他の子供2人たちと同様に、財産の1/3ずつを相続させてやりたいと考えています。
どの遺産を相続するかは、子供や孫達で決めてほしいのですが、何分、孫はまだ未成年です。
孫が成人になってから、私が逝けば問題ないのですが、どうもそろそろ天国からお誘いがありそうです。
何かいい方法がありませんか?
そうですね。
それでは、お孫さんが成人になるまで、遺言で遺産分割を禁止する、という方法を検討してみてはいかがでしょうか?
遺言で遺産分割を禁止する、ということが可能なのですか?
可能です。
遺言で最長5年間、遺産分割を禁止することが可能です。
ちなみに、特定の遺産のみ遺産分割を禁止する、といったことも可能です。
遺言で遺産分割を禁止する理由
上述のように、相続人の中に未成年がいる場合、その方が成人になるのを待ってから、遺産分割協議をさせてあげたい、と思われるケースもあります。
そのような時に、一定期間、遺言で遺産分割を禁止する、といった方法が有効です。
また、それ以外にも、相続人の中に行方不明者がいるなど、相続人が確定していない場合や、民事訴訟が提起されている遺産などがある場合に、一定期間遺産分割を禁止する、といったことが考えられます。
絶対に禁止できるとは限らない
注意点として、遺言で遺産分割を禁止したからといって、絶対に禁止できるとは限りません。
相続人全員の合意があれば、遺産分割をすることが出来ます。
よって、なぜ一定期間禁止しているのかを、遺言の付言事項として記載しましょう。
付言事項には法的効力はありませんが、理由を知れば、相続人の方も納得するかもしれません。
遺産分割を一定期間禁止する場合の遺言の記載例
第〇条 遺言者 太郎は、遺言者の遺産全部について、その分割を相続開始の時から5年間禁止する。
2 前項の定めにもかかわらず、遺言者の孫 小太郎(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)が成年に達した時は、遺言者の遺産全部について、遺産分割を行うことができるものとする。
付言事項
小太郎の自立、及び公平な相続をするためにも、小太郎が成年に達するまで遺産分割をしないでほしい。
これは最後の頼みである。
ポイント
遺産分割を一定の期間禁止すると同時に、特定の事実が生じた場合(上述の例であれば、小太郎が成年に達した場合)には、遺産分割をできるように配慮しておきましょう。
遺言者が亡くなる前に、未成年の方が成年になるといったことも十分考えられるため、遺産分割を一定の期間禁止にする場合には、遺産分割を禁止する理由がなくなる場合も想定して、遺言書を作成しましょう。