公正証書遺言の訂正方法は大きく3つに分れる
公正証書遺言の訂正といっても、遺言の内容を変えたい、あるいは住所の間違いを訂正したいなど、その内容は様々です。
そして、公正証書遺言の訂正方法は、この訂正の内容によって、変わってきます。
公正証書遺言の内容を変更したい場合は一から作り直す
住所の誤記などの訂正ではなく、公正証書遺言の内容そのものを訂正したい場合は、一から作り直す必要があります。
また証人やら手数料が必要ということですか?
そうなります。
面倒だし、費用ももったいない。
何とかなりませんか?
お勧めはしませんが、自筆証書遺言を作成する、といった方法があります。
詳しくは、以下の関連記事に記載していますが、遺言は後の日付のものが有効となります。
また、自筆証書遺言より公正証書遺言の方が優先される、といったこともありません。
あくまでも日付で判断されます。
よって、公正証書遺言の訂正方法として、「後から自筆証書遺言を作成する」といった方法もあります。
内容変更とまではいかない、一部の修正などである場合
訂正内容が公正証書遺言の内容の変更というよりは、補充や一部修正の範囲内と公証人に認められれば、「更正証書」や「補充証書」を作成することになります。
とはいえ、「更正証書」や「補充証書」の作成には、公正証書遺言を一から作成するのと同じ手順を踏みます。
なので、必要書類などをまた揃える必要があります。
ただし、手数料は、もとの公正証書遺言の作成にかかった費用の半分となります。
また、公正証書遺言を作った時と同じ公証役場での「更正証書」や「補充証書」の作成であれば、手数料は、もとの公正証書遺言の作成にかかった費用の1/4となります。
誤記を発見した場合
公正証書遺言を作成した後に気づいたのですが、住所に誤記がありました。
これも公証役場で「更正証書」や「補充証書」を作成しないといけないのでしょうか?
いわゆる誤字脱字などであれば、その必要はありません。
公正証書遺言の内容の訂正ではなく、誤字脱字などの訂正であれば、公証人に【誤記証明書】を作成してもらえば事足ります。
この誤記証明書の作成には、費用がかかりません。
また、必要書類や公証証書遺言を作成するときのような手続きも必要ありません。
ただ、誤記証明書で訂正可能なものは、明確な誤記や逸脱に限られ、公正証書遺言の付属書類や戸籍謄本等の関係書類、あるいは公正証書遺言の他の記載部分に照らして、誤記であることが明白な場合に限られます。
ちなみに、この誤記証明書があると、不動産の名義変更などの時に、公正証書遺言に誤字があることを指摘されても、手続きを進めることが出来ます。
まとめ
まとめますと、以下のようになります。
- 内容を変更したい場合は、一から作成する
- 内容の変更とまではいかず、一部修正などであれば、「更正証書」や「補充証書」を作成する
- 誤字脱字などであれば、「誤記証明書」を作成する