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遺言執行者を複数人にするなら権限の範囲や意見が対立した場合も考慮する

質問

遺言執行者を長男にと考えているのですが、長男は仕事の関係で、頻繁に海外に出張することもあります。
長男の仕事のことを考えると、遺言執行者は次男にした方がいいかなとも思うのですが、やはり責任感の強い長男に遺言執行者を任せたいと思っています。
ただ、少しでも長男の負担を減らしてやりたいのですが、何かいい方法はありますか?

解答

そうですね。
一つの方法として、遺言執行者を複数人指定する、という方法があります。

質問

遺言執行者を複数人指定することも出来るのですか?

解答

はい、出来ます。

遺言執行者を複数人指定することは可能です。

例えば、上記の例でいえば、長男と次男の両方とも、遺言執行者として指定することが可能です。

あるいは、相続人全員や複数の税理士や弁護士などを、遺言執行者として指定することも可能です。

遺言執行者を複数人にするメリット

複数の専門家

遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば、原則として誰でも指定できます。

ただ、相続で揉めそうである、遺言執行者に指定予定の相続人が、本当に遺言執行してくれるのか不安である。

このように思われる方も少なくありません。

そのような時には、法律や税務の専門家である、弁護士や税理士を遺言執行者として選任する、という方法があります。

そして、もう一つの方法としては、複数の相続人、もしくは相続人全員を遺言執行者として指定する方法があります。

あるいは、相続人と税理士を遺言執行者として指定する、といった方法もあります。

遺言執行者を複数人にするメリットとしては、法律手続きに関することは、税理士や弁護士に実行してもらい、それ以外は相続人に実行してもらうなど、役割分担が可能な点です。

役割分担

例えば、長男には不動産の全てを相続させ、長女には金融資産の全てを相続させるとします。

このような時に、不動産に関する遺言執行者として長男を指定し、金融資産に関する遺言執行者として長女を指定すると、遺言執行が円滑に行われやすくなります。

遺言執行者が一人では、遺言執行が難しいと想定される場合には、遺言執行者を複数人指定することも検討してみましょう。

遺言執行者を複数指定する場合の文例

第〇条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の2名を指定する。

住所 東京都〇〇区〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号

職業 税理士

名前 木村 〇〇

生年月日 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

住所 東京都〇〇区〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号

職業 弁護士

名前 田村 〇〇

生年月日 〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

遺言執行者ごとに権限の範囲を指定する場合の文例

第〇条 遺言執行者である長男の太郎、および遺言執行者である長女の花子の、遺言執行の職務の範囲を次のとおりに定める。

長男の太郎は、不動産に関する一切の権限

長女の花子は、金融資産に関する一切の権限

遺言執行者を複数人にする場合の注意点

遺言執行者を複数人にすると、遺言執行者間で意見の対立が発生する可能性があります。

そうなると、遺言執行が円滑に行われない可能性も出てきます。

よって、そのような場合を想定して、遺言執行者間で意見の対立があった時には、特定の遺言執行者の意見に従わせる、という形で遺言執行者を指定するようにしましょう。

遺言執行者間で意見が対立した場合に対処する文例

第〇条 遺言執行者間で意見の相違が発生した場合には、相続人Aの意見に従うものとする。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。