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  3. 遺言執行者の報酬の相場や決め方は?

遺言執行者の報酬は「遺言での指定」や「相続人との協議」で決められる

相続手続きでは、以下のような様々な費用がかかります。

  • 相続財産の管理費用
  • 相続税申告に関わる費用
  • 遺言書の検認手続きの費用(自筆証書遺言などの場合)

そして、見落としがちですが、遺言執行者への報酬も必要です。

この遺言執行者への報酬は、遺言で指定し決めることが出来ます。

遺言に記載がない場合は、相続人との協議で決めます。

相続人との協議で決まらない場合は、家庭裁判所が決めます。

相続人の負担軽減のためにも、遺言執行者の報酬は、遺言で指定しましょう。

遺言執行者の報酬の相場は?

遺言執行者の報酬

遺言執行者の報酬の相場は、対象財産の額や、執行に要する時間などを考慮して、決められています。

そして、遺言執行者の報酬の相場は、概ね以下のような感じとなります。


遺言執行者の報酬の相場

相続財産総額料金
1500万円未満の場合15万円
1500万円以上、3000万円未満30万円
3000万円以上、5000万円未満0.6%
5000万円以上、1億円未満0.5%
1億円以上、3億円未満0.4%
3億円以上0.3%

遺言執行者を、税理士や弁護士などの専門家に依頼する際には、上記の料金表と照らし合わせて、高すぎないか?安すぎないか?見比べてみましょう。

そして、その専門家の実績なども考慮して、最終的に決めることをお勧め致します。

なお、遺言執行者は忠実に任務を行う必要があり、相続人からの請求があれば、いつでも遺言執行の状況について、報告しなくてはなりません。

そして、故意または重大な過失によって、遺言執行に間違いを生じさせた場合には、損害賠償の責任を負います。

この損害賠償金は、遺言執行者の報酬と相殺し、残額があれば残額を支払う、というような形となります。

このように、遺言執行者は「大きな責任を背負う」ことになります。

単純に手続きをするだけだから、大した報酬は必要ないだろう・・。

遺言執行者に指定している友人Aとは、仲が良かったから、タダ、もしくは安い料金でも大丈夫だろう・・。

このような観点で、遺言執行者の報酬を決めないようにしましょう。

遺言執行者の報酬を指定する遺言の記載例

遺言執行者の報酬を定額で定める場合

  第〇条 遺言執行者に対する報酬は、金〇〇万円とする。


遺言執行者の報酬を割合で定める場合

  第〇条 遺言執行者に対する報酬は、遺産総額の〇%とする。

  なお、遺言の執行に係わるその他の費用は、相続財産から別途支払うものとする。


遺言執行者の報酬を、依頼先の報酬規定で定める場合

  第〇条 遺言執行者に対する報酬は、税理士法人〇〇会計事務所の、報酬規定によるものとする。


遺言執行者の報酬を、どの遺産から支払うかを、具体的に定める場合

  第〇条 遺言執行者に対する報酬は、長女Aが遺産相続した、預貯金より支払うものとする。


上述のように、遺言執行者の報酬を遺言で指定する方法として、具体的な金額や遺産の割合などで指定することが出来ます。

また、具体的にどの遺産から支払うのかを、決めることも出来ます。

遺言での指定がない場合は、まずは相続人と協議する

質問

遺言に遺言執行者の報酬に関することが何も書かれていません。
ネットで調べたら、家庭裁判所での手続きが必要と書いてあります。
面倒です。
何とかなりませんか?

解答

遺言執行者と相続人の間で協議をして、遺言執行者の報酬について合意が出来れば、家庭裁判所で手続きをする必要はありません。

【遺言書に遺言執行者の報酬が定められていない → 即、家庭裁判所に対して報酬付与の審判申立てが必要】と誤解されている方が、少なからずいらっしゃいます。

遺言書に遺言執行者の報酬が定められていないからといって、絶対に家庭裁判所の審判が必要なわけではありません。

相続人と協議の上、報酬の合意が出来れば、家庭裁判所に対する審判申立ては不要です。

相続人との協議で決まらない場合は、家庭裁判所が決める

家庭裁判所

遺言執行者の報酬について、遺言書に定めがなく、かつ相続人と間で、報酬に関する合意が出来なかた場合には、遺言執行者が家庭裁判所に対し、報酬付与の審判申立てをする必要があります。

ちなみに、遺言執行者に対する報酬付与の申立てには、以下の書類が必要となります。

  • 財産目録
  • 遺言書の写し
  • 遺言執行報告書
  • 申立人、遺言執行者の戸籍

遺言執行者への報酬の前払いなどは可能?

原則として、遺言執行者が報酬を受領できるのは、遺言執行の事務を終了した後となります。

ただ、相続人等の了解があれば、遺言執行の途中でも、報酬を受領することは可能です。

しかし、相続人からの承諾を得ずに、遺言執行の最中に、勝手に相続財産などから報酬を受領した場合には、遺言執行者の解任に発展する可能性もありますので、それはやめましょう。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。