将来取得予定の見込み財産は遺言の対象財産にして問題ない
夫に聞いたところ、私(妻)に不動産や預貯金等の一切の財産を相続させる、という遺言書を作成したそうです。
私達夫婦も遺言書を作るような齢になりました。
そこで、私も遺言書の作成を考えているのですが、夫から相続する予定の財産は、全て子供たちに相続させる予定です。
夫が亡くなっていないので、確定している財産ではないのですが、遺言書に記載することは可能でしょうか?
可能です。

上述のような、将来自分の財産となる見込みの財産を、遺言の対象財産に含めることは可能です。
そもそも遺言というのは、遺言者が現在所有している財産を、相続させる(もしくは遺贈する)ことではないからです。
遺言者が死亡した時の、まさにその時に所有している財産が、遺言の対象財産となるからです。
よって、遺言者が死亡する時までに、取得する可能性のある財産を、遺言の対象財産に含めて問題ありません。
遺言書の作成は、思い立ったが吉日ではないですが、作成しようと思ったら、すぐに着手すべきです。
後で作成しよう、夫が亡くなってから作成しよう、と思っていた矢先に、不慮の事故で・・、等とならないように気を付けましょう。
見込み財産が特定できるなら特定して遺言書に書く
遺言書には、特定できるものなら、出来るだけ財産を特定して記入すべき、というセオリーがあります。
特定することにより、トラブル防止や遺言執行者が執行しやすい、といったメリットがあるためです。
よって、将来相続する(もしくは取得する)予定の財産が自宅や不動産など、明確に分かる場合には、明確に記入しましょう。
見込み財産が特定できる場合の記載例
遺言者〇〇は、遺言者の夫〇〇が死亡した場合に、夫〇〇から相続する予定の下記不動産については、長男 幸太郎に相続させる。
<不動産を表記> 略
見込み財産が特定できない場合の記載例
一通り、現時点においての財産や遺産分割について、遺言書に記載した後に、次のような1文を記載します。
その他、遺言者〇〇が有する一切の財産は、長男 幸太郎に相続させる。
見込み財産を取得しなかった場合の遺言書はどうなる?
相続(取得)予定であったものを、実際には相続(取得)しなかった。
しかし、遺言書には相続(取得)した前提で、既に記載してしまった。
このような場合は、遺言書の一部撤回となり、その部分の記載は無効となります。
注意点としては、遺言書そのものが無効になるわけではなく、記載しているのに、実際にはその財産を所有していない箇所の部分が無効になります。
ただ、遺産総額が変わることによる、遺留分の問題などが発生する可能性もあるため、遺言書を作りなおした方がいい場合もあります。