相続分を割合だけで指定する際は「遺留分」や「指定方法」に注意
遺言書の作成を考えています。
相続人は長女・次女・三女の3人です。
遺言書には具体的な財産を記載せず、長女・次女・三女に、それぞれ財産の1/3ずつを相続させたいと考えています。
そのような遺言書の作成は可能ですか?
もちろん、可能です。
遺言書に具体的な財産を記載せず、相続分を割合だけで指定することは可能です。
ただし、上記のケースでは1/3ずつなので問題はありませんが、仮に長女6/8、次女1/8、三女1/8というような割合だと、次女と三女の遺留分を侵害してしまいます。
上記のケースでは、遺留分として、次女・三女ともに1/6ずつ遺産を相続できる権利があります。
たとえ、遺留分を侵害している遺言でも、その遺言自体は有効ですが、相続人がトラブルにならないように、配慮することも重要となります。
相続分を割合で指定する遺言の場合、遺産分割協議が必須
相続分を割合で指定された場合には、遺産分割協議が必須となります。
例えば、相続人が3人で、以下の遺産を1/3ずつという遺言の内容だっとします。
- 不動産1億円
- 現預金1億円
- その他の財産1億円
この場合、不動産1億円を相続人A、現預金1億円を相続人B、その他の財産1億円を相続人Cとした場合、1/3ずつとなります。
また、不動産を共有持分にするなどして、各財産を1/3ずつにする方法等もあります。
このように、相続分を割合で指定されている遺言の場合、具体的にどうのように相続するかは、相続人間で遺産分割協議の上、決める必要があります。
相続分の割合を指定しない遺言も可能
「誰々にどの財産を遺産相続させる」とも記載せず、さらに「相続分の割合も指定しない」というような遺言も可能です。
具体的には「全財産を、長男、次男、三男に相続させる。ただし、その具体的な分け方は、3人で協議して決めること」といった内容の遺言です。
ちょっと待ってください!
この内容であれば、わざわざ遺言書を作成しなくてもいいのではないですか?
だって、結局3人で遺産分割協議して決めることに変わりないですよね?
いや、このような内容でも作成した方がいいといえます。
それは、遺言で記載された3人以外に「遺産を相続させる意志がない」ことを確認できるからです。
相続分の指定を第3者に委託することも可能

遺言者は、相続分の指定を第3者に指定することも可能です。
例えば、遺言者が信頼している友人や、相続人が尊敬している方に「相続分を決めてもらう」ということです。
具体的には「遺産の割合をどうするかは、遺言者の友人である〇〇に一任する。」といったように記載します。
ただ、この相続分の指定を第3者に委託する際には、注意点があります。
それは原則、委託者に相続人を指定できない点です。
例えば「遺産の割合をどうするかは、長男〇〇に一任する。」といったことは出来ません。
ただし、「長男〇〇の相続分を3/6とし、次男・三男の相続分は、長男〇〇に一任する。」といったことは可能です。
自分自身の相続分の指定はできませんが、他の相続人の相続分の指定は可能ということです。