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  4. 自筆証書遺言を法務局で保管するメリット

法務局の保管制度を利用すれば「遺言書の紛失や隠ぺい」を防げる

法務局
質問

自筆証書遺言を作成したのですが、保管場所に困っております。
簡単に発見されても困りますし、かといって、私の死後、発見されないのも困ります。
何かいい方法はありませんか?

解答

法務局の保管制度の利用を、検討されてみてはいかがでしょうか?

自筆証書遺言を自宅などに保管している場合、遺言者の死亡後に、遺言書が発見されない、あるいは、誰かに破棄や隠ぺいをされる危険性があります。

これは自筆証書遺言のデメリットとして、前々から存在している問題です。

よって、この問題を解消するために、2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言を預かってもらえる制度が開始しています。

自筆証書遺言の保管先にお困りの場合は、法務局での保管をお勧め致します。

なお、この制度は任意であり、自筆証書遺言を作成したら、必ず法務局で保管をしないといけないわけではありません。

保管制度の仕組み

遺言者の住所もしくは本籍地、または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局で、自筆証書遺言を保管してもらいます。

遺言者の死亡後、相続人や受遺者が「法務局に遺言書が保管されているかどうか」を調べます。

保管されていれば、相続人や受遺者は、遺言書の写しを受け取れます。

また、法務局で手続きをしていない他の全ての相続人等に「法務局で遺言書を保管している旨」の通知がいきます。

通知

この通知により、ある相続人は遺言書の存在を知らない、といったことを防いでいます。

ちなみに、この法務局の保管制度を利用すれば、検認は不要です。

質問

ちょっと待ってください!
誰かが法務局で手続きをしないと、通知されないということですか?
死亡と同時に、相続人に遺言書が保管してあることの通知はいかないのですか?

解答

その仕組みは、令和3年度以降をめどに開始される予定です。

ちなみに「死亡時通知の申出」といい、この制度の利用は任意です。

また、相続人・受遺者・遺言執行者などのうち、1名のみを指定し、その1名のみに、死亡と同時に「遺言書が保管されている旨の通知」がいきます。

保管制度の利用方法

遺言者本人が、法務局にて手続きをする必要があります。

代理での手続きは認められていません。

また、保管の申請料金は、1件につき3,900円です。

必要書類としては、

  • 遺言書の保管申請書
  • 封をしていない遺言書
  • 本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3カ月以内)
  • 写真付きの本人確認書類(運転免許所やマイナンバーカードなど)

となります。

遺言書の保管申請書は、以下のようなもので(法務省HP 遺言書の保管申請書より抜粋)、「自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等」からダウンロード可能です。


保管申請書

また、記入方法は「遺言書の保管申請書の記入上の注意事項」に記載されています。

注意点として、保管制度で預かる遺言書は、以下のように形式(自筆証書遺言書保管制度のご案内より抜粋)が決められています。


遺言書の形式
遺言書の形式2

内容までは担保されない

この保管制度を利用したからといって、遺言の内容まではチェックされません。

自筆しているかどうか等の形式だけのチェックとなります。

よって、法務局で保管している遺言書だからといって、必ずしも「遺言書として問題がない」とは限りません。

例えば、登記事項証明書の記載に従わず、「土地」や「建物」という記載しかしていない遺言でも、形式上の問題はないので保管制度を利用できます。

ただ、上記のような「土地」や「建物」といった漠然とした表記(明確に特定していない表記)だと、登記を拒否される可能性もあります。

このような問題のある遺言でも、保管時に指摘されません。

内容までしっかり担保したいのであれば、公正証書遺言での作成をお勧め致します。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。