相続財産に該当するものを遺言書に記載しないことが重要
プラスの財産より、明らかに借金などのマイナスの財産の方が多い。
このまま遺産相続させたら、相続人が借金などのマイナスの財産を背負い、大変なことになる。
このようなケースでは、遺言書で相続人全員に相続放棄を促しましょう。
(ちなみに、プラスの財産の範囲で、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ、限定承認という方法もあります。)
相続人全員が放棄をしなければ、放棄をしなかった相続人が、全ての借金を背負うことになります。
また、相続放棄をしたことにより、新たに相続人が発生する場合には、その新たな相続人も相続放棄をする必要があります。
例えば、子供が相続放棄をしたら、親が相続人となり、親が相続放棄をしたら、兄弟姉妹が相続人となります。
必ず、自分が相続放棄をしたことにより、新たに相続人が発生する場合には、その新たな相続人にも、相続放棄をするように伝えましょう。
そして、遺言書では相続財産に該当するものを、遺産相続させないように注意しましょう。
形見などの相続財産に該当しない物は、遺言書で遺産相続させても問題ありません。
しかし、その形見が市場などで販売したらお金になる場合には、相続財産を遺産相続したとして、相続放棄が出来なくなる可能性があります。
ちなみに、祭祀財産は相続財産に該当しないので、相続させても問題はありません。
相続放棄を促しつつも、形見や祭祀財産の相続は明記する
遺言者○○は本遺言書により次のとおり遺言する。
1.長男 政太郎には、以下の物を形見分けとして相続させる。
➀ 日記
➁ 長年愛用してきた腕時計
2.次男 幸太郎には、以下の物を形見分けとして相続させる。
➀ 長年愛用してきた登山道具一式
3.祭祀財産については、長男 政太郎に全てを承継させる。
4.付言事項
恥ずかしながら、多額の借金を背負っている。
私の存命中には、とても返済できないだろう。
また、お前たちに遺してやれるような資産らしい資産もない。
そこで、お前たち2人には、相続放棄をしてほしい。
相続放棄をすれば、借金を背負う必要はなくなる。
不甲斐ない父で申し訳ないが、これが最後の頼みである。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者〇〇 ㊞
注意点
相続放棄をお願いしたからといって、必ずしも相続人が相続放棄をするとは限りません。
また、相続人が相続放棄をしない場合には、この遺言書には相続財産について何も記載がないので、相続人間で遺産分割協議をする必要があります。