1. ホーム
  2. 遺言の文例集
  3. 抵当権付きの不動産がある場合の遺言書の文例と注意点

抵当権の債務者の変更登記が必要

抵当権とは、簡単に言えば、所有している不動産を担保に借金をし、その借金の返済が不能になった場合、債権者にその不動産を差し押さえられる、というものです。

この抵当権が付いている不動産も、相続財産となります。

借金の相続時と同様に、土地・建物に設定された抵当権の負担は、法定相続分にて、各相続人に相続されるのが原則となります。

ただ、一般的には、遺言によって、土地・建物を相続する相続人に、その抵当権の負担も相続させます。

ただ、これも借金と同様に、相続人間では有効であるものの、債権者に対しては、債権者が承認しない限り、相続人全員が法定相続分に応じて、抵当権の負担を負うことになります。

よって、債権者が承認しない場合には、抵当権の債務者を相続人全員にする変更登記をすることになります。

もしも、債権者が承認した場合には、抵当権の債務者を、遺言によって抵当権の負担の指定がある相続人(通常は抵当権付きの不動産を相続する相続人)にする変更登記をします。

借金を完済し終えたら、抵当権抹消登記をします。

抵当権の負担を特定の相続人に承継する場合

遺言者○○は本遺言書により次のとおり遺言する。

1.長男 太郎には、以下の物件を相続させるとともに、〇〇銀行〇〇支店からの借入金〇〇〇〇万円に対する債務と、土地・建物の抵当権の負担を相続させる。

 ➀ 土地

  所在 東京都〇〇区〇〇町〇丁目

  地番 〇番〇

  地目 宅地

  地積 900.00㎡


 ➁ 建物

  所在   東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇

  家屋番号 〇番〇

  種類   居宅

  構造   木造スレート葺1階建

  床面積  1階 65.00㎡


2.その他、遺言者に属する一切の財産は、妻 花子に相続させる。


3.本遺言の遺言執行者として、長男 太郎を指定する


令和〇〇年〇〇月〇〇日


東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号


遺言者〇〇 ㊞


注意点

遺言の内容が上記のようなものであったとしても、債権者が承認しない限り、相続人全員が法定相続分に応じて抵当権の負担を負い、抵当権の債務者を相続人全員(上記の場合であれば、太郎と花子)にする変更登記が必要です。

遺言をお考えの方は、まずはご連絡下さい。