遺言に「成年後見人の選任手続きを行う」よう記載する
夫、もしくは妻が認知症である。あるいは、障がい者である。
そんな配偶者を残して、先に逝ったらどうなるのか?
心配は尽きないと思います。
一つの解決策としては、認知症や障がい者の方が相続人である(推定相続人である)場合には、他の相続人(子供達など)に「成年後見人の選任手続きを行うこと」などと、遺言書に記載するといった方法があります。
また、認知症や障がい者である相続人に、遺言書で遺産を多く遺す、といったことも挙げられます。
成年後見人は保護者のような権限を持つ
成年後見制度には、家庭裁判所が後見人などを選任する法定後見制度と、本人が後見人を選任する任意後見制度があります。
分かりやすく言えば、判断能力が衰える前であれば任意後見制度、判断能力が衰えた後であれば法定後見制度を活用する、といった形となります。
ちなみに、ここで紹介している成年後見とは、法定後見制度のことを指しています。
成年後見人には、自分自身で判断することが出来ない者を支えるために、保護者のような権限を持ちます。
具体的には、本人に代わって、預金の入出金や介護施設への入所といった、様々な手続きをすることが出来ます。
遺言書で成年後見人の指定は出来ない
遺言書で「〇〇を成年後見人とする」といった指定は出来ません。
指定したとしても、法的拘束力はありません。
他の相続人や親族などが家庭裁判所で手続きをして、後見人を選任してもらう必要があります。
よって、遺言書には、成年後見人の指定ではなく、「成年後見人を選任する手続きを行うこと」等と記載します。
ただし、「未成年後見人」と「未成年後見監督人」の指定は、遺言書で可能です。
成年後見人の選任手続きを促す遺言の文例
第〇条 遺言者 甲の他界後、長男 乙は速やかに、妻 花代に係わる成年後見人の選任手続きを行うこと。
注意点
「成年後見人として〇〇を指定する」といった記載をしないように注意しましょう。