未成年後見人には「信頼できる人物」を指定する
既に夫(もしくは妻)が交通事故などで亡くなっており、今、私が亡くなると、残された(未成年の)子供達の面倒は誰が見るのか?
また、子供達が遺産相続する財産は誰が管理するのか?
と、疑問や不安に感じられる方もいらっしゃるかと思います。
結論からいいますと、未成年の子供に親がいない場合、親権者に代わって未成年後見人が子の身上監護や財産管理を行うことになります。
簡単に言えば、この未成年後見人は、親権者と同じ権限と責任をもつ、ということです。
そして、最後に親権を行う者が、未成年後見人を遺言で指定することができます。
親権者と同じ権限と責任を持つ人を指定することになるので、信頼できる人物を指定する必要があります。
複数人の未成年後見人の指定や未成年後見監督人の指定も遺言で可能
未成年者の財産の管理などを、未成年後見人一人に任せることに不安がある場合は、「未成年後見人を複数人遺言で指定する」方法や、未成年後見人を監督する「未成年後見監督人を遺言で指定する」といった方法があります。
ちなみに、未成年後見人、及び、未成年後見監督人は、就任した日から10日以内に、戸籍のある役場に就任した旨の届出を提出しなければなりません。
遺言で未成年後見人を指定しなかった場合
遺言で未成年後見人の指定がない場合には、未成年の子供の4親等以内の親族の申立てにより、家庭裁判所が親権者の指定をします。
よって、その指定がされるまでは、親権者が不在という事態が発生します。
親権者が不在という事態を発生させないためにも、遺言で未成年後見人を指定することをお勧め致します。
未成年の子供に親がいない場合の遺言の文例
遺言者○○は本遺言書により次のとおり遺言する。
1.遺言者の長男〇〇(平成〇年〇月〇日生)及び、長女〇〇(令和〇年〇月〇日生)に、遺言者の財産全てを、それぞれ1/2ずつ相続させる。
2.長女〇〇は未成年であるため、未成年後見人として、次の者を指定する。
住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号
名前 〇〇 太郎
昭和〇〇年〇月〇日生
3.長女〇〇の未成年後見監督人として、次の者を指定する。
住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号
税理士 〇〇 治郎
昭和〇〇年〇月〇日生
4.本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号
司法書士 〇〇 昌太郎
昭和〇〇年〇月〇日生
令和〇〇年〇〇月〇〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者〇〇 ㊞
注意点
上記の例の場合、同じ子供でも、長男は未成年ではないので、未成年後見人を指定する必要はありません。