相続の対象財産はしっかりと明記する

全てを妻に遺産相続させるからといって、「財産のすべてを妻〇〇に相続させる」と記載して終わるのではなく、遺産相続させる財産は、出来る限りしっかりと明記しましょう。
遺言書に財産を明記することにより、妻が知らなかった財産が判明する、という場合もあります。
ただ、「財産のすべてを妻〇〇に相続させる」という遺言でも、無効になるわけではありません。
子供や被相続人(亡くなった方)の親などがいる場合(いわゆる他の相続人に遺留分がある場合)には、付言事項にて「妻に全てを遺産相続させる理由」も記載しましょう。
付言事項に理由を記載したからといって、法的効力があるわけではありません。
ただ、他の相続人の心情に大きな影響を与える可能性があります。
理由しだいでは、他の相続人が「遺留分侵害額請求を断念する」ことも十分に考えられます。
他の相続人に遺留分がある場合
遺言者○○は本遺言書により次のとおり遺言する。
1.遺言者は妻○○に次の財産を相続させる。
(1)遺言者名義の下記の土地
所在 東京都○○区○○丁目
地番 ○○番
地目 宅地
地積 90㎡
(2)遺言者名義の下記の建物
所在 東京都○○区○○丁目○○番地
家屋番号 〇〇番地
種類 居地
構造 木造かわらぶき1階建
地積 55.6㎡
(3)遺言者名義の下記の預金全て
○○銀行○○支店 普通預金(口座番号×××××)
○○銀行○○支店 普通預金(口座番号×××××)
○○銀行○○支店 定期預金(口座番号×××××)
2.その他、遺言者に属する一切の財産を妻○○に相続させる。
3.本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
住所 東京都〇〇区〇〇
税理士 〇〇
4.付言事項
長男〇〇や長女〇〇にも相続分があることは理解している。ただ、今の財産があるのは、全ては妻の支えがあったおかげだ。また、妻が病気がちであることを考えると、妻に十分な財産を遺してあげたい。子どもたち2人は遺留分侵害額請求をせず、私の亡き後、お母さんを支えていってほしい。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者〇〇 ㊞
相続人が妻のみ、あるいは他の相続人に遺留分がない場合
遺言者○○は本遺言書により次のとおり遺言する。
1.遺言者は妻○○に次の財産を相続させる。
(1)遺言者名義の下記の土地
所在 東京都○○区○○丁目
地番 ○○番
地目 宅地
地積 〇〇㎡
(2)遺言者名義の下記の建物
所在 東京都○○区○○丁目○○番地
家屋番号 〇〇番地
種類 居地
構造 鉄筋コンクリート造2階建
地積 1階 〇〇㎡
2階 〇〇㎡
(3)遺言者名義の下記の預金全て
○○銀行○○支店 普通預金(口座番号123456789)
○○銀行○○支店 定期預金(口座番号987654321)
2.その他、遺言者に属する一切の財産を妻○○に相続させる。
3.本遺言の遺言執行者として、妻○○を指定する。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者〇〇 ㊞