担保責任の「減免」や「負担分の変更」は遺言で可能
各共同相続人は、他の共同相続人に対して、その相続分に応じて担保責任を負います。
意味がわかりません。
相続した財産に欠陥や数量不足、破損等の瑕疵があった場合に、その瑕疵の負担を共同相続人で相続分に応じて負担する、ということです。
ただし、遺留分を侵害することは出来ません。
例えば、相続人がA・B・Cの3人で、それぞれ1/3ずつ遺産相続したとします。
この時、Aさんが遺産相続した動産に、相続後に破損が判明し、修理代として900万円かかるとします。
この900万円の修理代をAさんだけが負担するのではなく、Bさんに300万円(1/3)、Cさんに300万円(1/3)ずつ請求できる、ということです。
ただ、この「相続分に応じて担保責任を負う」ということを、遺言によって変更することが可能です。
他の共同相続人の担保責任を免除する文例
第〇条 遺言者 甲は、第〇条により長男 太郎が相続する動産の全てについて、数量不足や破損等の瑕疵があったとしても、妻 花代、長女 花子は担保責任を負担しないものとする。
特定の相続人に担保責任を負担させる文例
第〇条 第〇条により遺言者の妻 Aが取得した不動産について、破損等の瑕疵があったときは、長男 Bが担保責任を全て負担するものとする。
担保責任の負担分を変更する文例
第〇条 第〇条により遺言者の妻 Aが取得した動産について、数量不足や破損等の瑕疵があったときは、妻 A、長男 B、長女 Cが相続人に応じて担保責任を負担するものとする。
ただし、妻 Aに負担するだけの資力がない時には、長男 B、長女 Cが妻 Aが負担できない部分を、相続分に応じて負担するものとする。