著作権や「特許権を受ける権利」なども遺産相続の対象
著作権や特許権も遺産相続の対象となり、その他、実用新案権や商標権、意匠権なども遺産相続の対象となります。
また、特許権を受ける権利も遺産相続の対象となります。
特許権を受ける権利とは、発明を行った時点で発生する権利となります。
ただ、著作者の一身に属する、著作者人格権は遺産相続の対象となりません。
著作者人格権とは、著作者の人格的利益の保護を図るための権利であり、具体的には以下の4つとなります。
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権
- 名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利
公表権は、公表するかどうかや公表方法などを決める権利です。
氏名表示権は、著作者の名前を表示するかどうかなどを決める権利です。
同一性保持権とは、著作物を無断で修正されない権利です。
名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利とは、著作物が著作者の名誉を害するような方法で使用されることを禁止する権利です。
著作権を相続させる文例
第〇条 遺言者 Aは、遺言者が有する下記著作物の著作権を、長男 Bに相続させる。
書名:〇〇〇〇
著作者の氏名:〇〇〇〇
ポイント
著作権には登録制度(文化庁_著作権登録制度)も設けられていますが、著作権の権利移転に、何か登録するといったことは必要ありません。
ちなみに、登録済みの著作権を遺産相続させる場合には
- 登録番号
- 登録年月日
- 著作者の氏名
- 著作物の題号(題名)
などの登録事項を参考にして、出来るだけ著作権を特定できるようにします。
特許権を相続させる文例
第〇条 遺言者 甲は、遺言者が有する下記の特許権を、長男 花太郎に相続させる。
特許番号 :特許第〇〇〇〇号
出願年月日:平成〇年〇月〇日
出願番号 :〇〇-〇〇
査定年月日:平成〇年〇月〇日
請求頁の数:1
発明の名称:〇〇〇〇
登録年月日:平成〇年〇月〇日
ポイント
特許登録原簿の記載に従い
- 特許番号
- 出願年月日
- 出願番号
- 査定年月日
- 請求項の数
- 発明の名称
- 登録年月日
等を記載して、特許権を特定できるようにします。
特許出願後の「特許権を受ける権利」を相続させる文例
第〇条 遺言者 誠之助は、遺言者が有する下記の特許を受ける権利を、長女 花代に相続させる。
出願年月日:令和〇年〇月〇日
出願番号 :〇〇-〇〇
発明の名称:〇〇〇〇
発明の明細:別紙のとおり(別紙、省略)
ポイント
特許出願後の場合は
- 出願年月日
- 出願番号
- 発明の名称
- 発明の明細等
等を記載して、特定できるようにしましょう。
もしも、特許の出願前であれば、特許の出願書などを参考にして記載しましょう。
なお、特許を受ける権利を相続する相続人などは、その旨を特許庁長官に届け出る必要があります。
実用新案権を相続させる文例
第〇条 遺言者 三郎は、遺言者が有する下記の実用新案権を受ける権利を、長男 又三郎に相続させる。
実用新案登録番号:第〇〇〇〇号
出願年月日:令和〇年〇〇月〇〇日
出願番号 :〇〇-〇〇〇〇
考案の名称:〇〇〇〇
登録年月日:令和〇年〇〇月〇〇日
ポイント
実用新案登録原簿の記載に従い
- 実用新案登録番号
- 出願年月日
- 出願番号
- 考案の名称
- 登録年月日
等を記載して、特定できるようにします。
商標権を相続させる文例
第〇条 遺言者 一郎は、遺言者が有する下記の商標権を、長男 次郎に相続させる。
登録番号:第〇〇〇〇号
登録商標:〇〇〇〇
登録日 :第〇類
出願番号:〇〇-〇〇〇〇
出願日 :令和〇年〇〇月〇〇日
指定商品又は指定役務:〇〇〇〇
商品又は役務の区分 :第〇類
ポイント
商標登録原簿、商標登録証等の記載に従い
- 登録番号
- 登録商標
- 登録日
- 出願番号
- 出願日
- 指定商品又は指定役務
- 商品又は役務の区分
等を記載して、特定できるようにします。
意匠権を相続させる文例
第〇条 遺言者 誠一は、遺言者が有する下記の意匠権を、長男 誠二に相続させる。
意匠登録番号 :第〇〇〇〇号
登録意匠 :令和〇年〇〇月〇〇日
出願年月日 :令和〇年〇〇月〇〇日
登録年月日 :令和〇年〇〇月〇〇日
意匠に係る物品:〇〇〇〇
ポイント
意匠登録原簿の記載に従い
- 意匠登録番号
- 登録意匠
- 出願年月日
- 登録年月日
- 意匠に係る物品
等を記載して、特定できるようにします。