胎児は「既に生まれたもの」とみなされる

相続においては、胎児は既に生まれたものとみなされるので、遺言で胎児に遺産を相続させることが出来ます。
また、遺言によって、胎児を認知することもでき、認知とともに遺産相続させることも可能です。
ただ、胎児の認知には、懐胎している母親の同意が必要であり、認知の届出の際に、母の承諾書を添付する必要があります。
ちなみに、胎児が実際に生まれる前に、遺言者が死亡したとしても、遺言書の記載どおりに胎児は遺産相続できます。
遺言による認知の場合、遺言執行者はその就職の日から10日以内に、認知に関する遺言の謄本を添付して、その届出をしなければなりません。
よって、遺言で胎児を認知をする場合には、必ず遺言執行者の指定をしましょう。
胎児に遺産相続させる文例
第〇条 遺言者 Aは、遺言者が所有する下記の現金及び預金を、遺言者の妻 Bが懐胎している胎児に相続させる。
ポイント
母を特定することにより、胎児の特定を行います。
胎児を認知し、遺産相続させる文例
第〇条 遺言者 甲は、下記の者が懐胎している胎児は、遺言者の子であることを認知する。
氏名:〇〇花子
本籍:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
生年月日:平成〇〇年〇〇月〇〇日生
2 遺言者は、第1項で認知した胎児に、下記の現金及び預金を相続させる。
注意点
胎児を懐胎している母親が婚姻関係でない人の場合は、同意の際に、その人の戸籍謄本で本籍を確認する必要があります。
認知した胎児が死産した場合を想定した文例
第〇条 遺言者 太郎は、下記の者が懐胎している胎児は、遺言者の子であることを認知する。
氏名:〇〇花子
本籍:東京都〇〇区〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号
生年月日:平成〇〇年〇〇月〇〇日生
2 遺言者は、第1項で認知した胎児に、現金1,000万円を相続させる。
3 万が一、第1項で認知した胎児が死産であった場合には、前条の現金1,000万円は〇〇花子に遺贈する。
注意点
胎児が死産した場合は、生まれたものとはみなされません。
よって、「胎児に〇〇を相続させる」などは無効となります。
また、死産した胎児に代わりに、母親が相続する、といった権利もありません。
よって、胎児が死産した場合も検討しておきましょう。